連載小説ブログ「昭和56年」

第六回 無題

 赴任した札幌は4月とはいえ、朝晩は寒かった。路肩には凍った雪が残り、酔っぱらって歩いてすってんころりんは一週間で四、五回はやっていたなあ。

 まっ、こんな感じ。


損保業界の場合、保険代理店が商品を売り、我々はそのマネジメントを行うというのが損保社員のシゴトだ。

代理店でも手数料を5,000万円程度稼ぐ方や、年間300万程度とか、様々。

そして代理店は法人・個人の形態があり、これも様々。

様々だから、個性も様々。

酔うと会社の悪口や批判をする人も居るし、この会社は良い会社と褒めるのもいる。

法人代理店は自社の社業の一部に保険代理業をやっている形態だから、基本的にサラリーマンなので、割と紳士的な方が多かったなあ。

やんちゃゾーンの方はやはり個人で保険代理業をやってる方だったな。手数料を沢山稼いでいる方は、当然保険の売上も大きいから会社もちやほやするから、よけい図に乗る人も居た。

ガキの頃から、ノー天気に好き勝手なことやっていた俺にとって、偉そうに話すおじさん方を見て、「人間謙虚が大事!」と思ったもので、本好きの俺にとって「謙虚」というワードは当然歴史もので軽く読み流していたが、実社会での経験は、「謙虚」の意味をしみじみ教えてくれたっけ。

どういうわけか俺はやんちゃ系の代理店に可愛がられた。

まあ損保の入ってくる社員は偏差値採用主義だから、判で押したような連中が多いからイロモノ・シリーズの俺は、「こいつ面白いな」って評価で、毎晩飲みに連れて行かれたな。

新橋の売れっ子芸者のように、毎晩のように飲み歩いていたっけ。

居酒屋でなまら(北海道弁)でかいほっけを食べて。それからスナックのはしご。締めは定番味噌ラーメンね。

一週間飲み続けて、当然風呂には一週間入れなかったなあ。

臭せえぞ、おい。

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